奥田恵が務める学園には、ある怪談話が伝わっていた。昔、長谷川花子という女子生徒が教室で用務員に乱暴され、そのショックで教室から飛び降り自殺をしてしまった。そして彼女は成仏することが出来ず、未だに学園をさまよっているという…。奥田は、恐る恐る学園内の巡回をしていた。使用されていないトイレ。閉じられているドアはいかにも何か出そうな雰囲気だ。だがドアを開けたその先は和室の生活空間と化したトイレであった。ちゃぶ台でお茶をすすりながらくつろいていた少女の姿は、赤いジャンパースカートにおかっぱの髪、彼女は紛れもなく学校に伝わる怪談、トイレの花子さんそのものであった。